管理人様
満洲文献で名高い北村謙次郎の「北辺慕情記」は戦後の出版であるにも拘らず入手が困難ですから
私どもの研究室ではこれのコビーがバイブルのように扱われております。
此れに変わるか或いは匹敵するような資料がありましたら教えていただきたいのですが、宜しくお願い致します。
大陸人様
満洲文学の第一級資料としては「満洲文芸年鑑」を差し置いて、他には考えられません。
ご指摘の北村謙次郎「北辺慕情記」は「満洲文芸年鑑」1、2を土台にして、そこに記憶の部分を付け加えたものです。
従って資料という位置付けなら其の記憶の部分は無視し北村自身がサブタイトルとしている「長編随筆」としての捉え方が正しいと思います。
「満洲文芸年鑑」は北村が資料とした1、2の次に3がありますが「満洲文芸年鑑」以後の出版についての纏まった記載のある物はありませんので、
そこでは手探りの作業になりましょうが想像、記憶違い、誤った記述などがありませんので却って実証的で信頼がおけるという皮肉な事になります。
「満洲文芸年鑑」の記載の過ちを北村謙次郎もそれ以後の某ヘッポコ大学ウスラバカ教授も見事なまでに踏襲しております、
北村謙次郎は日本に帰ってきても日本浪曼派のレッテルを貼られ碌な仕事もない状態ですから、まあ仕方ないかで済ませられますし、
それこそ碌でもない肩書きが世間で通用すると錯覚するほどの間抜けですから某教授の無能も当初から窺い知れますが、
これからの研究者にはそんな事の無きようにと思います。
他に満洲文学の実情が浅見淵の「文学と大陸」「蒙古の雲雀」「満洲文化記」に詳しく描かれています。
これらの入手も難しいですが浅見淵全集なら、さほどではないでしょう。小田嶽夫、春山行夫にも詳しいものがあります。
以上、参考になりましたら幸いです。
管理人様
当方の掲示板に書き込みいただいて有り難う御座いました。何だかリクエストばかりでお手を煩わせ大変恐縮です。
また改めて拝見して、『絶望の書』の初版が第六版であった(!)ということ、初めて知りました。
わたくしの所持しているのも六版で、今までみたことがあったものも六版で、まあまあ売れていたんだな・・・などと思っておりましたが、そういうことだったんですね。
しかし異装まで網羅されていらっしゃっており、これはちょっと保存用にプリントアウトしておこうかなどと思っています。
一度ならず二度までも・・・御迷惑お掛けいたしました。
yamanaka 様
「辻潤」過分なお褒めに預かり大変恐縮致しております。
さて、黒石なのですが実行に移さんと本を取り出してみましたら本は汚いし、何処かに仕舞い込んでいる物や貸したまま帰ってこないものが在ったりで相当悲惨な状況でした。
貸したままの物は兎も角、ある筈のものは何とか捜したいのですが、自分の本のために若い人たちの貴重な時間を犠牲にさせてしまうほど傲慢ではないし、
と結局はどうも怪しげな事になりそうな言い訳なんです、ご期待に反すること事前にお断りしておきます。
楽しく見ておりますが、一つお教え下さい。砂子屋書房で一番有名な晩年は、初版何部ですか。さまざまな説があるようですが、よろしくお願いいたします。
太宰ファン様
「晩年」初版の部数は?というご質問ですが、小生は答えの用意がありますけれど、其の前に「さまざまな説」について逆にお尋ねいたしたく存じます。
yamanaka様
yamanaka様の収集日誌を拝見し、そのパワーに感心しきりであります。ところで、僕は全くのビギナーなのですが、三島の本で特に珍しいものは何なのでしょうか。僕にとっては、あれもこれも珍しいものばかりなのですが、ご経験で集めるのに大変な本をご紹介下さい。お願いします。
500部説と600部説があると聞いていますが、根拠はしりません。だれが何を根拠に言っているのでしょうか。
太宰ファン様
浅見淵は『昭和文壇側面史』で太宰治『晩年』について「晩年さえ、初版五百部が半分しか売れなかった」と記しています。
ご存知の通り砂子屋書房は山崎剛平の呼びかけに浅見淵と古志太郎が応じ三人でのスタートとなり、
その現場に直接居合わせたばかりでなく印刷屋、製本屋との直接交渉をしていた人物の証言ですので、
此れだけでも充分と思われます。
未だと仰るなら(仰ってませんけど)昭和十六年六月、砂子屋書房刊の『文筆』夏季版に太宰治が『「晩年」と「女生徒」』の一文を寄せていて、
そこに「晩年は初版が五百部くらゐで、それからまた千部くらゐ刷った筈である」とある。
これは著者自身の証言
、
更に駄目押し決定版として書房主、山崎剛平からの「当時、第一小説集の初版は殆どが五百部であり晩年も例外にあらず」と言い切っている。
これは本人から直接伺った証言。以上です。
管理人 様
辛辣では在りましたが具体的に教えていただきまして有難うございました。「満洲文芸年鑑」は何処へ行けばみられるのか、ご存知でしょうか。
大陸人様
「満洲文芸年鑑」が何処へ行けばみられるのかは知りませんが、葦書房という本屋さんから何年か前に復刻されていますので、まずは其方に在庫の有無を確かめてみたら如何。
早速教えていただきありがとうございました。
さて、もうひとつ恐れ入りますが教えていただきたいのですが、全集の巻末に晩年のサイン本がたくさん出ています。
おもしろい言葉が添えてあるのですが、こういう本は古本屋に出てくることがあるのですか?
それともみんな文学館入りでしょうか。またもし、古本屋で売るとしたら幾らくらいのものですか?是非教えて下さい
管理人様
はじめまして。わたくしは某大学で近代文学を教えている者で、辻潤はその研究対象の一人でございます。
このたび、管理人様の「辻潤単行本書目」を拝見し、その完璧なことに感嘆いたしました。
実は、以前あるところで、国立i大学のs教授による辻潤の書目をみたことがあるのですが、
「完全」とされているそれが、遺漏ばかりであったことがわかりました。
これだけの資料を集められるのは、さぞ大変でいらしたことでしょう。
そのご努力に敬服すると同時に、これだけの貴重な書物をインターネットで公開されたことに深く感謝申し上げます。
なお、わたくしも黒石に関心がございますので、こちらも楽しみにしております。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
太宰ファン様
「晩年」の献呈署名は砂子屋書房でしていたそうです。
当初は帯が無かったそうで本屋に並べて目立つようにと急遽拵えたと山崎剛平は言っています。
従いまして太宰が最初に署名其の他を書いて贈呈されたものは帯がついていない可能性大です。
今日、付属品として帯の存在の有無が古書価に大きく反映されていますが、「晩年」に関しましては帯のないまま世の中に出て行った何冊かがあるはずです。
以上は参考までに、それらの価格などの諸問題に就きましては私の友人で最前線で活躍中の人物に答えていただきましょう。
天女の舞い様
此方こそ始めまして。どうぞ宜しくお願い申し上げます。ご高覧有難うございます。
仰っていただきました通り完璧であれば良いのですが、書誌に関しては言い切ってしまう恐さを充分に知っているだけに常に「完全」の前に「ほぼ」を付け加えてしまいます。
葛西善蔵の「哀しき父」はつい最近まで初版は無く四版が初版ではないかと言われておりましたが、私はとうの昔に初版のそれを四冊持っていましたので、四版が初版説を聞かされる度に俯いておりました。
ともあれ先人の仕事のあら捜しを目的としている訳ではないし、そのたたき台が在らばこそ、後の仕事が楽に出来るのでありますから、敬意を表して其のたたき台を使わせて戴く様心がけては居ります。
恐縮です。ここの管理人様に較べれば赤子同然のわたくしが、しかもさろん・ど・書痴にてお答えするのは何ともお恥ずかしい限りですが、
僭越ながらお答えさせていただきますと、資金が有ればなんとかなるものや極々少部数のものを除けば、
やはり一般的には「魔群の通過」帯付や「宝石売買」帯付などがあまりあらわれないのではないでしょうか。
童話モノもレアだとは思いますが、ここらへんいついてはもっと詳しい方がいらっしゃると思います。
全体的には、昭和20年代のものと、もっと後のものでも、「剣」や「スタア」「ブリタニュキス」など、帯を余り見ないものが高値のようです。
yamanaka様
始めまして、由紀夫と申します。三島と同名であることもあって、10年ほど前から三島本を集めています。
ところが、お書きになった「ブリタニュキス」の帯を一度も見たことがありません。
「剣」や「スター」の帯よりもかなり珍しいものなのでしょうか?
もうひとつお尋ねしたいのですが、「春の雪」の先刷本(これも見たことがないのですが)には、帯が付いているのでしょうか。
知人は帯なしの本を神保町のN書店で見たことがあるというのです。どうぞよろしくお願いします。
yamanaka様
早速教えて下さり感謝申し上げます。僕にとってはすべてが高嶺の花ですけど、これから頑張って集めていきたいと思います。
とはいえ、貧乏学生に買える範囲は狭く、指をくわえていることになりそうですが。
ところで、由紀夫様お話の「春の雪」試刷本とはいかなるものなのですか?僕はネームにもするくらい好きな作品なので、是非教えて下さい。
「奔馬」以下の本にもこれがあるのでしょうか?
管理人様 三島のことばかり書いていますが、どうかビギナーに免じてお許し下さいませ。
たびだひ失礼します。由紀夫様のメールを読み直したところ、「試刷」ではなく「先刷」とありました。
僕の早とちりだったのですが、「先刷」ということはもしかして、寄贈用に少しだけ作ったのかな、などと想像しました。いかがでしょう。
春の雪様、由紀夫様、
「春の雪」試刷本については、ワタクシも以前或る方からいろいろ情報を頂きました、
ここをご参照下されば幸いです→http://www3.tky.3web.ne.jp/~taqueshi/2001b.html
また「ブリタニキュス」帯についても、拙HPに掲げておきました、ご笑覧いただだければと存じます。
http://www3.tky.3web.ne.jp/~taqueshi/
yamanaka様
ご紹介いただいた最初のページは開けませんでしたが、HPから色々とアクセスして勉強いたしました。
素晴らしい情熱と研究、そしてお仲間達ですね。正直うらやましいです。
ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
太宰ファン様
管理人様からのご依頼により、この件について回答いたします。
「晩年」の識語が入った本が最後に古書市場に出たのは14年前で(帯付でした)、古書価は200万円を超えました。
バブルの頃の価格ではありますが、今もし出現したとしても、それくらいはすると思います。
しかし、いつ出てくるかは全く想像がつきません。
以上、ご参考になれば幸いです。
yamanaka様
こちらといいyamanaka様のHPといい、レベルが違います。
でも僕もちょっとずつでも努力しますから、どうぞよろしくご指導おねがいします。
yamanaka様
あなた様がいてくれまして助かりました。最も苦手なジャンルですので
由紀夫様
勉強させて戴いております、これからもどしどしyamanaka様に難問を浴びせてください。
春の雪 様
いつでも大歓迎いたしますので、もっと気楽に遊びましょう。
人魚の嘆き様
小生のS.O.S.を見逃さないように気を付けて於いてください。
天女の舞い 様
黒石は何冊かはどこかに取り紛れているはずですが、取敢えず、穴だらけのまま終わりです。
「世界人」の入手は別に取り立てるほどのエピソードなど何も無く何年か前の「伊勢丹古本市」の目録にあったものを普通に注文して買ったものです、
競争相手は無く注文は一人だけでしたので驚きました。確か十五万円ぐらいだったと記憶しております。
ご指摘の通りYK先生ですが、大泉黒石全集の完成の会で初めて会つたのです。
全集を出した本屋の主催で黒石のご遺族等三十人ほどでした。
会終了後に知人にお茶を誘われYK先生と三人で話をして、其の時に知人が「YK先生に本を貸してあげてくれないか」「いいですよ」と言う話で、これもつまらぬ話。従って交流なんてありません。
春の雪様 由紀夫様
ご感想をありがとうございました。こちらこそまだまだ経験は浅くいろいろと勉強中です、どうぞ今後とも宜しく御願いいたします。
管理人様
私のようなものでもなにほどかお役に立てたようで、恐縮しつつも嬉しく存じます。
ところで、噂に名高いかの「世界人」拝見させていただきました。
何と、「人間開業」だったのですね。また、そのほか生まれてはじめてみるような凾、ただただ感嘆するばかり、大変参考になります。
しかしそれにしても、「狂つた一頁」のように、偶然「血と霊」のフィルムが見つかる・・・なんてことはないのでしょうね。
yamanaka様
「世界人」に関しましては小生も入手するまでは完全に謎の本でした。
黒石全集編集委員の皆様それぞれの方達が相当でたらめな事を言っていました。
まさか現存するとは思っても見なかったのでしょうね。
それどころか凡そ実証とはかけ離れた委員達で単行本未収録の作品はおろか単行本になった物すらろくすっぽ読んでませんでしたね。
作品年譜も殆ど小生の雑誌で作ったようです。
黒石は「俺の自叙伝」だけでも「世界人」も含めますと「人間開業」「當世浮世大學」と同じ原稿で四回も書名を変えて単行本を出しています。
他にも内容の重複が多いので、中身を良く確かめもせずに買って失望した読者も多かったでしょうね。
「血と霊」のフィルムは出てきたら面白そうですね。
人魚の嘆き様
詳しい解説をありがとうございました。しかし、200万とは正直驚きました。
出てきてもとても買うことは不可能ですけれど、せめて見てみたいものです。とにかく、貴重な証言にお礼申し上げます。
管理人様
始めまして大塚と申します。友人からこのHPを聞き拝見しました。皆様と同じく圧倒されっぱなしです。
そこでお伺いしたいのは、管理人さんはいつ頃から本を集め始めたのでしょうか。
そして、今でも買っていらっしゃるのですか。
あれこれ詮索めいて失礼ですが、これだけのコレクションを作られるご苦労の一端を差し支えない範囲でお教え下さいますようお願い申し上げます。
なお小生は、大正以降の怪奇幻想文学に関心のある者であります。
管理人様
高橋と申します。辻潤を追いかけて40年、本日初めて「星の巣」を見ました。現存していたのですね。
驚きと感激で心臓が年甲斐もなくどきどきしています。こんな大珍奇な本を披露いただき心より感謝申し上げます。
これからも秘蔵の本を公開願います。
大塚 様
始めまして、本を買い始めましたのは中学二年の頃からです。
だからと言って以来ずっと溜め込んだわけではなく、何回も処分したり、買ったりを繰り返して今日に至っています。
小生のは収集と言うのとはちょいと違うと自身では思っております。
読みたいものを買っていたら自然に増えてしまっただけです。
本は今でも買っていますよ、昨日も二冊、今日は八冊買いました。
高橋様
「星の巣」が辻潤関連の文献として紹介されたことは一度もないにも拘らず、それが「現存していたのですね」と仰るからには予備知識がおありになった訳で、其の事で驚いています。
辻は「断想」と言う表題でいくつかの作品がありますが、この「断想」は逸文です。
管理人様
初めて書き込みさせていただきます。以前こちらのhpに遊びに来て頂き有難うございました。
私は文学とは全くといって良い程縁が無いのですが、亡祖父が物書きの端くれであったりその作品が管理人様のHPに掲載されているのに驚いております。
文学の知識は全く無いのですが、様々な書影の美しさに心動かされています。また遊びに来ます。チャオ!
伊太利男 様
よくぞいらして下さいました。文学系思い切り暗いのが多いですからね、殊に年寄りに始末が悪いのが多い。
だらだら長生きしてきたものだから、どうせ碌な仕事なんか出来もしないくせに貴重な古本沢山抱えて、後進に道を譲るどころか、
仕事が出来上がったのを見図らって、あれが足りない、あれも抜けてる、言ってくれれば見せてあげたのになんて言うんだよ。
親切面しながらケチつけて鬼の首とったような面してるような輩、此れが実に多い。
こういう奴だから誰も仕事なんか頼まないから暇で暇でしょうがないんだけれど、見栄はって忙しがるから、それをいいことに、
たまには声を掛けなくちゃならないかなって思っている人も「ああ助かった」てことになるんだな、ザマ見ろ!
何言ってんだかわかんなくなっちゃったよ、又来てねチャオ
yamanaka様
今一つ迷っていることがあるんです。実は僕はお金も無いし、これまでは三島本は初版でも帯のない本を安く買っていました。
ところが、昨日少し顔見知りになった本屋さんから「買う冊数は減らしても、帯の付いている完全な本を買った方が、もし売る時にも得だよ」といわれたのです。
つまり、5000円の帯なし本2冊よりも、10000円の完全な本を買った方が、将来売る時も高く古書店が買ってくれるというのです。
これは本当でしょうか。それと僕はとりあえず売る気はないのですが、やっぱり量より質を求めるべきなのでしょうか?
迷える子羊に先輩からのアドバイスをお願いします。
春の雪様
どうでしょう、それぞれコレクターのスタンスによるのでは、としかいえないかもしれません。
ワタクシなどは、取り敢えず重版でも汚くても元本が欲しい、というのが重版よりは初版がいい、初版でも完本が欲しい・・という風に移っていきましたが、
取り敢えず汚い帯欠本でも手許において、後々完本を目指したい、と思っています。
例えば、初期の高価な初版本を1冊購入するなら、その分の資金で後期の初版完本を十数冊購入した方がいいかな、
高価な完本はそれ相応に稼ぐようになったら、と思っています。
勿論逆パターンもあるわけですが。道のりはまだまだ長いですし・・・・・。結局蒐集家の満足具合、蒐集規準により異なってくるのでしょう。
ただ、相手は古書なので、一期一会の機会には清水の舞台から飛び降りるカクゴもいる・・・のかもしれません。
私など集め始めてたかだか数年の、お金のない学生ですから、とてもえらそうなことはいえませんが、ご参考になれば幸甚です。
管理人様
「星の巣」については今から30年以上前に、もうなくなったある有名な古書店主から「四国の方面の個人が趣味で作ったそういう本があるらしい」という話をきいたのでした。
しかしその後これについて何の情報も無く、半信半疑だったのです。
長生きをしているといいこともあるものです。本当にありがとうございました。
yamanaka様
そうですね。やはり自己流が一番の気がします。僕はしばらくは帯なし流でいきたいと思います。
アドバイスありがとうございました。
春の雪 様
小生はyamanaka様の意見に全く同感です。
それに小生なりの考え方を付け加えさせていただきます。或る程度長期的な展望を持ち、尚且つコンプリートを目指そうとするならば、早道で最も経済的にそれを成し遂げようとするならば、優れた見識を有する古書店を選ぶ事。
そして其の店の顔馴染になる事、此れに尽きると思います。
と言いますのは或る程度の部分まではあちらで買い、こちらでいくらか安いから買いでも到達できますが、
本当の難しさはそこからで、そこからの一冊一冊には今までと比べ物にならぬ数の希望者が群がっているはずです。
入手が困難な本のそれが仕入れられた時、本屋の親父に「あの人に買ってもらおうか」と思わせる存在になる事です。
出来れば収集の第一歩をそこの本屋から始め、何処にでもごろごろしている物でも、多少高かろうが其の本屋の見識を信用して絶対によそでは買わない事です。
従って安い買い物自慢をしたい人にはこの方法は向きません。
始めまして、某大學で近代文学を研究、授業も行っております。
先日学会にて当サイトを教えていただき、毎晩のように拝見し、勉強させて戴いております。
浅見、田畑、中戸川では見ることすら難しい本が網羅されてことで驚きました。
砂子屋書房の綿密さに完全に脱帽いたしておりましたが、工事中の赤塚書房本が始まるや、
連日のように此れでもかと言うかのごとくに未知の勿論未見の書物が積み重なること正しく驚異であります。
私には大変貴重な資料になります事この上なしと感謝してりますと同時にこれほどの無知で何年間も教師をし続けている厚顔を自戒しております。
毎夜、アップデートを恐いながらも楽しみにしておりますので、今後とも宜しくお見知りおきください。
YT生 様
始めまして、お褒め戴きまして有難うございます。少しづつ進めてまいりますので、又御覧いただければと存じます。
文学的に昭和十年台は興味の尽きない時代と存じますが、そう時を経てない割には入手の難しい本が多いですね。
皆々様へ
砂子屋書房本の諸雑誌総目次、砂子屋書房史、山崎剛平年譜が完成致しました。
文學アルバムにも写真を追加致しましたので御覧下さい。
天女の舞い様
女流を一人ぐらい取り上げようかと存じておりますがリクエストございませんでしょうか?
管理人様
田村俊子、矢田津世子、平林英子、仲町貞子あたりでいかがでしょうか。
同性の者として、女流の作品にはやはり大変関心がございます。しかも、大学の図書館にも単行本はほとんどございません。
よろしく、ご検討下さいませ。
天女の舞い 様
平林英子、仲町貞子の両者はいかにも単行本が少なすぎますし他が昭和十年代ですので時代バランスと言う点も考慮いたしまして矢田津世子案を頂戴致したく存じます。有り難うございました。
管理人様
始めまして、賞物小僧です。名前のとおり賞物、とりわけ芥川賞、直木賞受賞作を収集していますが、小尾十三の芥川賞「雑巾先生」が最大の難物のようです。
この本は満州で発売されたもので、管理人さんのお得意の分野のようなのでうかがいます。
どのくらい残っているのでしょうか。そしてその古書価はいかほどでしょう。出てきたことはありますか。
以上、お教え下さいますようお願い申し上げます。
賞物小僧様
確かにここが最大の難関になることに異論の余地はございません。
現存が何部であるかの問いには答えうる材料を持ちません。
小生の知る限り小尾家に保存の一冊(復刻に使われた物)と何年か前に明治古典會の七夕市に出品された佐藤春夫宛の献呈本のみの確認にとどまります。
従いまして市場にその姿をみせましたのは後者の一冊となります、
その時の落札価格は三百五十万円弱位と微かに記憶しております。
満州文藝春秋社からは同時期に井伏鱒二「花の町」など数冊の出版がありますが「雑巾先生」だけがとりわけ出現しない理由は不明です。
生煮えの返答ですみません。
管理人様賞物小僧様
「雑巾先生」は、佐藤春夫宛献呈本のあとに、もう一冊古書市場にでています。
これも200万円以上の価格で落札されました。
ちなみに、佐藤宛はバブル紳士が買ったのですが没落し、その後再び市場で取引され、やはり250万円を超えたのです。
通常は、一回出ると次はかなり下落するものですが、流石と言えるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
人魚の嘆き様
「雑巾先生」の修正情報有り難うございます、と言うことは現段階において三冊は確認された事になりますね。
先日某オークションで「晩年」の3版がかなり高く落札されていましたが、そんなに珍しいものなのでしょうか?
初版が高いのは納得がいくのですが、ちょっと驚きです。
太宰ファン様
「晩年」は再版、三版合わせて千部が出版されており、貼函及び機械函付きの二通りがあります。
前者は極端に少なく、これは、初版の五百部より少ないかもしれません。
価格は美醜により大きな差が出ますが、三版は全て機械函付です。
この本は函がつぶれやすいので函の天地の角が元の形を保ち、背の文字紙がきれいなままの状態を持つものが極く稀にありますが、
二十五万円でも高くないと思います、保存程度が普通であらば六、七万から十万円程度では買えるのでは無いでしょうか。
管理人様
リクエストにお答えいただき感謝申し上げます。矢田津世子本たのしみにしております。